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蒼猫物語

寧ろ鶏口と為るとも牛後と為るなかれ。

民法5まとめ その1

問:内縁の合意解消と死亡解消の場合において、財産の清算はどのようにすればよいか。

1.内縁の合意解消の場合

婚姻の場合には財産分与(民768)を行う。婚姻解消の際の財産分与の規定を内縁解消の場合に類推適用できないか。この点、財産分与の規定を内縁関係の合意解消の場合に類推適用することはできると解する。なぜなら、内縁関係とは婚姻の届出を欠くのみで婚姻としての実態は実際の婚姻関係と何ら異なるところはないからである。

 

2.内縁の死亡解消の場合

では、内縁関係が死亡によって解消された場合はどうか。この点、婚姻関係の死亡解消の場合には相続に関する処理を行うことから、内縁関係にも相続の規定を類推適用することができないかが問題となる。思うに、婚姻関係と異なり、内縁関係には婚姻届や戸籍への記載などといった公示方法は存在しない。このような内縁関係に相続に関する規定の類推適用を認めると、相続に関する利害関係人が存在する場合に不測の損害を生じさせる恐れがある。したがって、内縁関係に相続に関する規定の類推適用は認められないと解する。

だとすると次に、合意解消の場合に類推適用した財産分与に関する規定を死亡解消の場合にも類推適用できないかが問題となる。この点、内縁の死亡解消の場合には財産分与の規定を類推適用しないとする見解がある。その根拠として、相続による財産承継の構造の中に財産分与という異質の契機を持ち込むものであるということがあげられる。しかし、この見解は妥当ではない。この見解は財産分与は異質の契機であるという点を強調して類推適用を否定しているが、権利に対応して義務も発生していると考えれば、すなわち、死亡による内縁解消と同時に財産分与を行う義務が発生していると考え、それが相続人に相続されていると考えれば、相続による債権債務の承継の手続を行えばよいのであるから、必ずしも異質の契機を持ち込んだものであるとは言えない。また、内縁の合意解消の場合は、そこに至るまでに当事者双方が対立関係にあったとしても財産分与が認められるのに、終生協力関係にある死亡解消の場合に財産分与の類推適用が認められないとするのは不公平である。したがって、死亡による内縁解消の場合であっても、財産分与の規定を類推適用することができると解する。